言葉にできない。「萩尾望都 ポーの一族。」
♪ラ~ラ~ラ、ララ~ラ。の小田和正さんではなく、萩尾望都さん。
話が冒頭からずれますが、小田和正さんも、神から祝福を与えられた声ですね。特にご本人の歌う映像とかで聴くとグッときます。
萩尾望都さん ポーの一族、最新連載です。発売当日、書店に走りました。やはり、わたしと同じような方が多かったようで、売り切れ続出、予約制の重版がされたようです。
わたしが萩尾さんの読者になったころは、既にポーの一族の連載は遠い昔に終わっており、漫画雑誌で時折お見かけする都度買い漁る、とても遅れたファンでした。
少女漫画の大御所中の大御所。第一人者なので、いまさらわたしから、あの頃の興奮や幸福、説明も不要と思われます。
ただ、漫画を読んで、初めて身も心もほんとうに物理的に震えた経験はA-A'でした。そのことを書かせてください。
粗筋は、宇宙のさまざまな惑星の開拓に乗り出している未来。主人公の少女も辺境の惑星で科学者として働いている。
彼女は、無愛想、感情表現が薄い、主語がわたしではなく、自分のことを名前で表現する、特化した数学的能力がある。といった明らかに自閉症的性格を与えられているのですが、回りの開拓の仲間達からは、彼女自身の個性として受け入れられて働いています。
そんな時、彼女が食事をとっていない事に、仲間の男性の一人が気付いた事から、二人の関係が始まります。どこかアンバランスで、どこか親密な…。
しかし、彼女は滑落事故で、恋人の目の前で死んでしまう。
ただ、この時代は、危険な惑星開拓に従事する人間には、地球にクローンが用意されており、恋人との記憶のない新しい彼女が、また派遣されてくる。
元の恋人は、戸惑いながらも、新たに関係を築こうとし、また心を通わせようとするのですが、そんな時に彼は滑落して死んだ元の彼女の遺体を発見してしまう。彼は新しい彼女から離れる事を決意し、別の惑星に旅立ってしまう。
残された彼女は、一見 なんの変化もないように 見えたのですが、また食事が取れなくなっている。そこに彼の宇宙船が事故に合い死亡したことが伝えられる。
今度は、彼のクローンが彼女の元に帰ってきます。
その時彼女は、昔恋人と話した子供の頃の話や故郷の話を、彼に伝えたいと思うのです。
長くなりましたが、作品は短編の漫画です。
わたしは未だに、自分が震えるほど何に感動したのか?言葉にできずにいます。
「不在であるとはどういう事か?」がわたしの人形作りのテーマだと、以前ブログに書いたことが近いのですが…。でも、確かな言語化を何処かで拒んでいる自分がいます。
わたし達は、言語化する事によって、理解したり、表現したりする様に教育されてきてきたんだと思いますが、時折そんなことを凌駕する作品が存在し、出逢うことのできた奇跡…。
宗教的な超常現象や、天文学的な偶然を、目の当たりにしなくても“奇跡”を感じることができる。わたしは、そのことを喜びたいと思っています。
今日は長くなってしまいました。
来てくださって、読んでくださって、ありがとうございます。