coconoo doll

素敵な大人になりたいものだ。 coconoo doll は、球体関節人形の制作日記です。あと、ガーデニング DIY エンタメも少し。

花森安治、俯瞰の視点。「美しい、日々の暮らしと反戦思想と」

里山の人形師  coconooです。

こんにちは。

 

http://www.kurashi-no-techo.co.jp/hanamorisan/sp/common/main_cover/m_cover1_67.jpg

 

 この前の日曜日

世田谷美術館に「花森安治展」を観にいきました。

ちょうどその日、NHKの「日曜美術館」でも、

特集が組まれていました。

 

 NHKの人気連続テレビ小説とと姉ちゃん」は、

暮しの手帖」を創刊した

大橋鎭子(しずこ)、花森安治(やすじ) をモチーフとしています。

ドラマでは、常子が「女性のための雑誌を作る」

と雑誌への思いが中心になっていますが

そこには花森の反戦への思いが、支えにあったと

わたしは思います。

 

とと姉ちゃん」でも、美術館でも、「日曜美術館」でも

なぜか?それは前景化していないのですが……。


 天才編集者、ジャーナリスト、デザイナー、イラストレーター、写真家として

雑誌の全てに関わった花森安治

 

 60年安保闘争のころ編集部員が、

『デモの特集をしよう』という提案をしたそうです。

ところが花森は、

『そんなものはマスターベーションにすぎない!』と言い切る。

『そういうことは、NHKや朝日や「世界」に任せておけばいい。

僕らは便所の隅っこにあるゴミをどうするのかということをやるんだ』

 

 庶民の日々の暮らしを少しでも良いものにすることが、

雑誌の使命だと考えていた。

 そのためにはメーカーに、おもねることのないよう広告も取らず、

プロパガンダに加担しないように、思想も語らず、

暮らしへの興味をもたせる、

ヒントだけを掲載させることを

雑誌の本分だと考えていた。

 

 それには、女性が中心にあらなくてはならない。

女性が強くあらなければならない。

と、考えていたのだと思います。

 

 雑誌創刊前に鎭子から「女性向けの雑誌を作りたい」と相談を受けた花森が、

鎭子に語った言葉。

 

「国は軍国主義一色になり、

誰もかれもが、なだれをうって戦争に突っ込んでいったのは、

ひとりひとりが、自分の暮らしを大切にしなかったからだと思う。

もしみんなに、あったかい家庭があったのなら、

戦争にならなかったと思う。」

(『「暮しの手帖」とわたし』大橋鎭子著)

 

 このエピソードは、ドラマの第15週でもモチーフにして取り上げられた。

ただ、花森と鎭子のやり取りには、そのあとの言葉がある。

 

「 君がどんな本を作りたいか、まだ、ぼくは知らないが、

ひとつ約束してほしいことがある。

それは、もう二度とこんな恐ろしい戦争をしないような

世の中にしていくためのものを作りたいということだ。

戦争は恐ろしい。なんでもない人たちを巻き込んで、

末は死までに追い込んでしまう。」

(前掲書)

 

ひとりひとりが暮らしを大切にすること。

家族を、近隣を大切にすること。

そうすれば、戦争などおこらないのだ。

 

「美しい暮らしは、自らの手からしか生まれない。」

 

そのためには、まず女性が強く、美しく、賢く、

暮らしの中心にいなければならない。

彼はそう思ったと

わたしには見えます。

 

大政翼賛会にも、関わりがあったと言われる彼ですが

わたしには、その主張の行き過ぎた延長だったように、思います。

 

言うまでもないことだけれど…。

彼の考え方は、警句として

残念ながら、今の時代にまた有効になりつつある。

 

 

www.coconoodollblog.net

 

 ところで、美術館で彼の、表紙の写真や絵を見ていて

気づいたこと……。

 

「俯瞰」からのカットが多いのです。

彼は「女性も男性のように、ものを物事を俯瞰から見なさい。」

と言っているような………。

流石に、わたしの考え過ぎかしら…(笑)

 

 

今日も、来てくださって、ありがとうございます。