世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド。「量子力学からの読書」
里山の人形師 coconooです。
こんにちは。
わたしは、翻訳の一部を除いて、すべて小説を読んでいるので、春樹ストかもしれません。
村上春樹の長編小説の中でも、少し毛色が違う「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」。
何回か?読み直しましたが、好きなんですよね。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 全2巻 完結セット (新潮文庫)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/11/05
- メディア: 文庫
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個人の「死」は、「世界の終わり」。
その当たり前が、見事に描き出されている。
わたし個人の死は、同時にわたしの持つ、世界の死を意味している。
わたしがいなくなっても、世界はわたしが一人がいない外部世界として、あり続けるのではなく、完全に無くなるのだ。という事実を書いている。
わたしが世界と感じるもの、他人に感じること、美しいも哀しいも、美味しいも悪意だと感じることも、わたしという主体がなくなった時に、無くなる。
世界の観察者であるわたしが一人いなくなって、その価値観・世界観が失われ、世界はそのまま存続するのではなく、観察されていた世界自体が無くなると言うこと。
量子力学の確率解釈、有名なところでは「シュレーディンガーの猫」ですか?
観察されることによって、世界はその振る舞いを決めている…。
こちらは、sobokuさん(id:soboku-kobe)の、
量子力学から見た世界とは?のテレビ番組を
とても丁寧にまとめられた記事です。
「客観と思われていた世界」と「自己の内部世界」の構造が、
遠く離れた別々に存在するものから、二重に同時存在するものとして、
この小説はその近接を試みていると、読みました。
(←わたしだけ?)
はじめは生と死の物語と読んだんですが、どうも結末がしっくりこなくて…。
ハードボイルド…の方の主人公は、時間を極限まで切り刻まれて、伸ばされ、死ぬことのない死を迎える。
これは現実にあり得ることで、ブラックホールに呑み込まれる状況と一緒。
当人からすれば数分のことが、地球の観察者から見れば数世紀同じ場所にいる。
かたや、世界の終わりの主人公は…。
そんな難しい話ではなくても
そもそも人間の感覚には、限界がある。
もし、嗅覚だけでも、犬並みになったら、
過去を現在と同質なものとして、見えてくるんだろうと思います。
その世界はどんな風に映るのだろう?
また、私たちは3次元の世界に生きているけれど、
もしかしたら、人間が感覚できない世界から見れば、
この地球に別の人類が、 一緒に暮らしているように見えるのかもしれない。
想像することは、タダで楽しい。
若い頃のコミュニケーション論?
今日も、来てくださって、ありがとうございます。